5Gとは、第5世代 (5th Generation)のワイヤレス通信技術のことを指します。従来の4G LTEに代わる次世代通信技術として、高速で低遅延な通信、高い信頼性やセキュリティ、多数のデバイスの同時接続などを実現することが期待されています。
5Gは、高周波数帯を利用する「ミリ波」や、従来の低周波数帯をより効率的に利用する「Sub-6」など、複数の周波数帯を利用して高速通信を実現します。また、従来の携帯電話やスマートフォンだけでなく、自動運転車や工場の自動化、医療機器や農業機器などのIoTデバイスなど、多様なデバイスやサービスに対応することができます。
現在、5Gは世界中で展開が進められており、より高速な通信や新しいアプリケーションの開発、産業のデジタルトランスフォーメーションなど、様々な分野での活用が期待されています。
5Gについて
2015年9月、ITU は、5Gの主要な能力やコンセプトをまとめた「IMTビジョン勧告(M.2083)」を策定しました。
この勧告では、5Gの利用シナリオとして、
- モバイルブロードバンドの高度化(eMBB:enhanced Mobile BroadBand)
- 超高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communications)
- 大量のマシンタイプ通信(mMTC:massive Machine Type Communications)
の3つのシナリオが提示されました。ただし、5Gでは、これらの全てのシナリオに対応するために単一のネットワークが必要とされるわけではなく、それぞれの利用シーンに応じて必要な性能を提供すればよいとされています。
4Gまでの移動通信システムは、高速・大容量通信を提供するために最大限のスループットを確保するシステムでしたが、通信速度や遅延時間、カバレッジなどの限界があったため、全てのユースケースに対応することは困難でベストエフォート型のシステムになりました。
それに対して5Gは、あらゆる利用シナリオでエンド・ツー・エンドの品質を提供することを目指し有線と一体として活用することで、「超高速」、「多数同時接続」、「超低遅延」という3つの異なる要求条件に対応する柔軟性を持ったネットワークです。
しかし、これらの要求条件を全て満たすことはまだ技術的、コスト的にハードルが高く、また、現実的な利用シーンを想定した場合、同時に満たす必要のある状況は多くないと考えられます。そのため、5Gは、利用シーンやユースケースに応じて、必要な機能や品質を提供するネットワークを整備することを目指している状況と言えるでしょう。
5Gのミリ波とSub6の違いはなに?
5Gには「ミリ波」と「Sub6」の電波に分けられています。この2つの違いは利用している周波数帯です。
- ミリ波 ミリ波は一般的に30GHz帯から300GHz帯の電波のことを言います。 ただし現状のミリ波は26Ghz帯から29Ghz帯まで含んでミリ波と言われています。
これは携帯各社に割り当てられた周波数帯が27Ghz帯だからです。
- Sub6 6Ghz帯未満の周波数帯を指します。 日本の携帯電話事業者に割り当てられた5G用の周波数帯は3.7Ghz帯と4.5Ghz帯になります。
一般的に周波数帯は数字が大きくなればそれだけ高速通信ができる一方で、遮蔽物などには弱くなります。
携帯事業者に割り当てられた周波数帯
Sub6 3.7GHz帯はKDDIが2枠、NTTドコモ、楽天モバイル、ソフトバンクが各1枠 Sub6 4.5GHz帯はNTTドコモのみ1枠
ミリ波 28GHz帯はNTTドコモ、KDDI、楽天モバイル、ソフトバンク各1枠づつ割り当てられています。
もう一つの5G NR化
「New Radio(NR)」は、5G向けの無線通信規格であり、4Gの周波数帯にNRの規格を適用することによって、5Gを利用可能にする方法です。
既存の4G基地局を活用することで、新たに5G基地局を建設する手間を省くことができるため、より効率的に5Gの利用可能範囲を拡大することができます。
ただこの5Gは既存の4Gの最大通信速度を上回ることはありません。
WiMAXの2.5GHz帯の電波もこのNR化によって5Gに電波に段階的に置き換えられていきます。
KDDIやソフトバンクはこの基地局の置き換えで5Gを進めています。 一方でNTTドコモはSub6の周波数帯で5Gエリアを広げています。より高速に通信できるのはNTTドコモになりそうです。
5Gの普及はまだまだ時間がかかりそうですが、通信の高速化には期待したいところです。